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あまり堅苦しい話は無しにします。
私たちが取り扱っているワインの産地・カナダのケロウナという町に住みながら、仕事や生活にワインが関わってくる中から、何となく感じたことや出来事、その時々のトピックを気軽にお伝えするコーナーです。お仕事の合間や、息抜きの一時に軽い気持ちで読んでいただければ嬉しいです。


アイスワインの善し悪しを決定付ける「収穫日」の大切さ   2005年3月12日
 今やカナダを代表する特産品となったアイスワイン。ワイナリーはもとより、リカーショップや免税店にもアイスワインが数多く並んでいる。私はアイスワインの生産、対日輸出、日本国内販売の仕事に1999年から携わるようになった。春に芽を吹いたブドウの樹を見守りつつ、厳冬の収穫を迎えることが何よりの楽しみとなっている。アイスワインは前時代的な生産方式だ。天然状態で完全氷結させることが最大のポイントで、マイナス8度からマイナス15度の間でブドウの実が完全氷結しなければアイスワインにならない。ごく希に、「冷凍庫でブドウを凍らせれば」という意見を日本の市場関係者からお聞きするが、それは御法度となる。寒暖を繰り返し、自然の空気に触れながら、ブドウの実は少しづつ無駄な水分を吐き出していく。引き締まったブドウの実は、天然の果糖エキスと、僅かな水分が残るだけとなり、これが天然状態で氷結することで、あれだけ濃縮された素晴らしい甘さを取り出せるからだ。人工的に手を加えてブドウを氷結させても、アイスワインのような甘さには
決してならないのである。アイスワインを造るワイナリーは、こうした事実を知っている。美味しいアイスワインを生み出すためには、全ては天候次第であり、人間の叡知を駆使しても、それを自由にコントロールすることはできないことを。 近年の地球温暖化による影響は、アイスワインに致命的な打撃を与えている。寒さが足らないのだ。ここ数年のアイスワインの収穫日を振り返ってみると、1999年産は2000年1月、下旬、2000年産は2000年12月上旬、
2001年産は2002年1月下旬、2002年産は2003年2月下旬、2003年産は2003年11月下旬、2004年産は2005年1月上旬。一番早い収穫で11月下旬、一番遅い収穫で2月下旬、なんと約3ヶ月の差が生じている。
 美味しいアイスワインになるためには、収穫日がクリスマス前後だとされている。私は毎年、オカナガンのアイスワイン収穫に携わっているが、例えば収穫が遅れるほど、ブドウの実はやせ衰えてしまう。鳥の襲撃にあい、ブドウは食べられてしまう。鹿も熊もブドウを食べにやってくる。一日過ぎるごとにブドウは少なくなってしまうのだ。しかし、早ければ良いのか、というと実はそうでもない。2003年産は寒波の来襲が早く、オカナガン地方では11月下旬に収穫日を迎えてしまった。ブドウは無傷のまま収穫できた。アイスワインの原液も出来高は高かった。しかし、寒暖の差を繰り返しながら、ブドウが引き締まり、濃縮味を醸し出す前に氷結してしまったため、必要以上に水分が多く、全般的に果糖度の数値は低いものだった。近年のアイスワインをみると、2000年産のアイスワインは12月上旬から中旬の時期に収穫されているため、どこのワイナリーの製品も極めて高い果糖度を抽出している。私たちが取引契約しているケロウナ市のあるワイナリーは、2000年産アイスワインの果糖度が、搾り直後で60%、醸造後で56%という記録的な数値を引き出したほどだった。しかし 、翌年からは極度の暖冬のため、2001年産、2002年産は壊滅状態となり、約7割のワイナリーがアイスワイン収穫を断念した。2003年産は上述の通り、早い寒波の訪れにより、11月下旬収穫で果糖度が低くなってしまった。
 2004年産のアイスワインは、今年の1月上旬の収穫だった。私は1月2日にアイスワインの収穫に立ち会い、ワイナリースタッフといっしょに3時間の収穫作業を行った。2000年産のアイスワインとまでは行かないが、3年ぶりに高い果糖度を抽出したアイスワインだ。アイスワインに限っては、2001年、2002年、2003年と、3年連続でハズレ年だったが、2004年産は久しぶりのアタリ年である。今から出来上がりが楽しみだ。



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