| オカナガン・ワインフェスティバルの移り変わり 2005年10月15日 |
| 今年も9月30日から10日間に渡って「秋のオカナガン・ワインフェスティバル」が開催された。1999年3月からケロウナに在住する私は、その直後からオカナガン産ワインの対日輸出を主業務とするようになったため、ワイナリー側の立場として毎年、春と秋のワインフェスティバルに参加させてもらっている。身近にワインが存在する生活の中、やはりワインフェスティバルの時期になると妙に気持ちが高ぶってくる。 |
| この7年間の変遷を振り返り、一番強く感じるのは、イベントとしての厚みが増したことと、「料金」の高騰だ。このコラムの第二回「2005年 春のオカナガン・ワインフェスティバル」で紹介した通り、日本人が抱く「フェスティバル」のイメージとは相当かけ離れた距離感があることは否めない。日本人が抱くフェスティバルとは、町内会のお祭り的なものであり、誰でも気軽に参加が出来るというイメージで、「気軽に」=「無料」ということに直結するのではないだろうか。現実の当地ワインフェスティバルは、無料で楽しめる |
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一般参加のテイスティング会
ケロウナ会場、ペンティクトン会場
ともに今年はチケット料40ドル |
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ものは皆無と言っていい。町の中を歩いただけでは普段と何も変化が無く、従ってしかるべき場所へ赴かないとワインフェスティバルの醍醐味は味わえない。そして、それらフェスティバルのイベントに参加するに当たっては、事前に予約が必要か、あるいはチケットを購入するか、要するに料金が掛かるわけである。
今年も数名の日本人ツアー客が、当地のワインフェスティバルに参加をされたが、日本的なイメージのフェスティバルとはほど遠い「エンターテイメント」に対して大変に驚かれた様子だった。そして、全ての方々は「もっと気楽に楽しめるものだと思っていました。」という感想を漏らした。かく言う私とて、気軽に参加できて、気軽に楽しめるイベントの |
| 方が肩の力が抜けるので大歓迎なのであるが、地元の考え方はそうではないようである。いわゆる町興し的なイベントやフェスティバルについて、日本では興業収益を求めない傾向がある。いわゆる公的なイベントの色彩が強くなり、よって収益性や、ましてやビジネスの要素は求められず、ただ人が集まって騒げば良しとされる風潮が強い。つまり「日本のお祭り」なのだ。ところが欧米のフェスティバルは、主催者や企画者が正面に立ち、興業収益としてのビジネス色 |
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ワインとアートフードのイベントは
参加費1人70ドルと高額 |
が強くなると感じる。お祭りとフェスティバルの文化の違いと言えば良いのかもしれない。
ワインフェスティバルで一番のメインとなるイベントは、ケロウナ市とペンティトン市でそれぞれ開催される「一般ワインテイスティング大会」であるが、今年はとうとう、そのチケットが40ドルに高騰した。チケットマスターで購入すると手数料5ドルが加算され、45ドルかかる。5〜6年前までは、19ドルくらいだったチケットが、数年の間で2倍近くまで値上がっている。もちろん、この価格は正規料金のことである。
基本的にフェスティバルの魅力は、この期間だけ特別に用意されたフルコースの「ワイン&ディナー」で、それぞれのワイナリーがレストランやホテルとタイアップして限定数のコース料理をサーブするが、これに至っては最安値で60ドル、最高値で180ドルであるから、そもそも気軽に参加するということ自体が不可能だということだ。 |
| それでも何かリーズナブルなイベントは無いだろうか?と探してみると、極わずかではあるが、ワイナリーランチという昼食のイベントがある。とかくディナーが多い中、ランチのイベントというのは希少なのだが、料金は20ドル前後なので、気軽に参加するにはちょうど良いだろう。 今回、大当たりだったイベントは、10月7日の夜にケロウナのリゾートホテルで開催された「ワイン&アートフードの集い」だ。限定120名のみであり、1人70ドルの料金は決して安くないが、その内容は70ドルを遙かに超えるも |
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比較的リーズナブルに楽しめる
数少ないワイナリーランチは、
1人22ドル50セントから |
ので、腕利きのシェフチームが、アートフードの名にふさわしい彩りと味を醸し出した絶妙な贅沢料理をあつらえてくれた。このイベントの良いところは、いわゆるバフェ方式なので、気に入った料理を何度でも食べ続けることができる点だ。ワインフェスティバルのディナーは、過去に何度も食している私だが、これほど美味しい料理にお目に掛かったことはない。まさに感動的なイベントだった。私はフェスティバルの期間中は、ワイナリーのスタッフという隠れ蓑を着ているため、全てのイベントに無料で潜り込むが、この「ワイン&アートフード」だけは、お金を払ってでも来年また参加したいと思っている。
反対に、一般受けしないイベントもある。いわゆるセミナー形式のもので、30ドル〜40ドルの参加費がかかるものの、その内容は勉強会のため、フェスティバル的な要素を楽しみたい方にはオススメできない。ソムリエやワインのプロを目指す人や、レストランやホテルのダイニングルーム等で働くスタッフがワインの勉強のために参加するものなので、一般の観光客や特に日本人には楽しめないだろう。
このように、ひとくちにワインフェスティバルと言っても、その内容は様々で、年々、厚みが増してきているため、自分に見合った内容と予算を見極めた上できちんと計画を立てて参加をしなければ意味がないと言える。この結果、「気軽に参加」という意味合いからは、年々ほど遠くなっていくオカナガン・ワインフェスティバルだが、当地のワイン産業に対する力の入れようを考えると、こうなっていくのも仕方がないと思う。 |
| オカナガン地方は、カナダで指折りのワイン産地であると同時に、今後ますます観光客が世界中から訪れるであろうから、行政側もワイン組合やワイナリー関係者も、どちらかと言えば高級なイメージを造り上げたいと考えているはずだ。高級という言葉が不適切とすれば、「クリーンな」とか、「憧れの」という言葉が当てはまるかもしれない。つまり、無目的に安っぽいフェスティバルにしたところで、いたずらに人が集まるだけであり、将来的な価値を高めることにならないからだ。オカナガン・ワインフェスティバル実行委員会側の本心は存じ上げないが、少なくともこの |
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今年もワイナリーのスタッフという
立場から、ワインフェスティバルに
連日参加した筆者(写真:左) |
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| 7年間の変化を私なりに読みとってみると、世界的なリゾート化に向けた流れがあるように感じられる。デフレで何でもかんでも安売り合戦をしている日本と違い、欧米のリゾートは、より高級な要素を盛り込んでくる。価格もそれなりに高くなるが、安っぽい客を相手にしても不効率で、また収益率も悪くなるからだ。リゾートとかフェスティバルというものの狙いが、そうしたものにあるとするならば、オカナガン・ワインフェスティバルはこれからもクリーンで憧れの強いイメージになっていくのだと感じる。同時に私たち日本人が抱くフェスティバルというお祭りとは、どんどんかけ離れていくのであり、本場のフェスティバルを楽しむためには、日本人特有のお祭りに対するマインドを変えていく必要も迫られるのだろう。 |