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あまり堅苦しい話は無しにします。
私たちが取り扱っているワインの産地・カナダのケロウナという町に住みながら、仕事や生活にワインが関わってくる中から、何となく感じたことや出来事、その時々のトピックを気軽にお伝えするコーナーです。お仕事の合間や、息抜きの一時に軽い気持ちで読んでいただければ嬉しいです。


ナイアガラの巨大ワイン産業   2006年4月10日
 2000年春から、オカナガン産ワインの対日輸出を主業務としてきたが、お陰様で日本におけるカナダワイン販売の私たちの立場を評価してくださる消費者や業者が増えてきた。実は2002年から、日系の大手商社が手がけるナイアガラ産ワインの販売に関わる間接業務を委託されてきたが、この商社のスケールメリットには合わないということで、彼らが撤退することになってしまい、替わりに我々に全ての販売オペレーションを引き継いで欲しい、と言う依頼を受けたのが昨年の10月のことだった。
 当初、私はオカナガン産のワインだけで、もはや手一杯の状態だったので、依頼を引き受けることには消極的だった。しかし、関係者の希望が強く、結果的に引き受けることになってしまった。そのワインを製造し供給するワイナリーを見てみる必要があると考えた私は、春まだ遠いこの季節にナイアガラに向かった。
 BC州とオンタリオ州の時差は3時間。2006年3月3日午前11時30分のカナダ国内線ウエストジェット航空に乗り込み、一路トロントへ向かった。3月はじめのカナダの大陸は真っ白な雪に包まれ、窓の下に広がる山々が次第に険しくなった頃、ロッキー山脈の山並みが幾重にも白く繋がっている光景を、私は小さな窓から飽きることなく眺めていた。ロッキーを越え、北米大陸の中央部に向かって飛行を続けているうちに、いつの間にか山がなくなり、真っ白な平原が広がるだけの風景に移っていった。トロントに到着したのは現地時間で夜7時。ケロウナから直行便で約4時間半のフライトである。
大手ワイナリーのペラー社の
社屋正面に立つ筆者
 翌朝、取引先のワイナリーに向かうことになった。トロントは初めてとなる私のために、日系商社トロント支店の方が、わざわざ丸1日を掛けて案内をしてくることになった。幸運なことに、この日は3月初旬だというのに快晴だった。取引先のひとつ、ペラーワイナリー社を訪れた私は、その異様な建物の大きさに圧倒された。
 カナダのワイン生産の70%以上を占めるナイアガラ地方は、それぞれのワイナリーの規模も大きく、文字通りオカナガン地方とは桁がひとつ違う生産量を誇っていた。ペラーワイナリーは、イニスキリンで有名なビンコーン社に次いで、カナダで2番目に大きなワイン会社で、最近はケロウナにあるカロナワインを買収するなど、積極果敢な拡大路線を突き進んでいる感じがする。
 「ここが噂のペラーか・・・」 私は心中で独り言をつぶやきながら、その建物の内部に案内されていった。営業本部長のB氏の案内で、私は施設内を見学し、日本への輸出品のラインナップである3種類のアイスワインを慎重に試飲していった。大量生産の割には、しなやかな味わいをキープしている点は、さすがにペラーの技術力を感じることができた。
 このペラー社はナイアガラが拠点で、本社もオンタリオ州にあるが、BC州にも工場を持ち、専任の営業部隊もBC州で活動をしている。BC州で販売を統括するペラー社のD氏とは、オカナガンのワインフェスティバルでいつも顔を会わせる仲良しだが、さすがにオンタリオ州とBC州とでは、大陸の西と東なので、B氏にD氏のことを訪ねても、「さて?誰だろうな?」と知らない様子だった。それくらいペラー社は巨大な企業だということであろう。
 もうひとつのワイナリーは、ピリテリ社というワイナリーだった。イタリア移民の手によって開墾されたピリテリワイナリーは、現在の社長で3代目だそうだ。当初、私はファミリー規模のワイナリーだと聞いていたため、そのサイズ(生産量)は、オカナガン地方のファミリー規模のワイナリーと同規模だと思いこんでいた。ところが! これはこれは! 全く規模が違う。社長のP氏に案内され、醸造所に入りると、今年獲れたアイスワインが大きなタンクに入って醸造されてた。彼は簡単な口調で「これ、ビダルのアイスワインです。このタンクで5000リッターあります。」
ピリテリ社のワインショップ
 ちょっと待って! 5000リッター? 私は聞き間違いだと思いつつ、P氏に何度も確認したが、間違いなく5000リッターだった。
「そんな馬鹿な!」 このピリテリ社だけで、年間約5〜8万リッターのアイスワインを作るというのだから、私はしばし声を失ったままだった。ピリテリ社は徹底してアイスワイン作りに力を入れているということで、ナイアガラ御三家と言われる「イニスキリン」、「ペラー」、「ピリテリ」の3社だけで、オンタリオ州のアイスワインの実に17%を生産していると言うから、ますます私は声を失っていった。凄すぎる生産数。何しろ、ピリテリ1社だけで、オカナガン地方全体のアイスワイン生産量とほぼ同じなのだ。
ペラーとピリテリという2つの巨大ワイナリーを目の当たりにし、その圧倒的な生産量の大きさにショックを受けながら、私は一生懸命に頭の中を整理した。
 案内をしてくれている日系商社のT氏は、つかの間の度気分を私に味会わせてくださろうと、車を縦横無尽に走らせ、ナイアガラ・オンザ・レイクの町中から、ワイナリーのブドウ畑が広がる広大な地域を丁寧な説明を施しながら、私を楽しませてくださった。ふと見ると、オンタリオ湖が広がっていた。まだ3月ということもあり、浜辺の手前には、氷が白く光っていた。有名な五大湖のひとつであるオンタリオ湖。ナイアガラ・オンザ・レイクから、オンタリオ湖を挟んで対岸にトロントの町並みが見えた。
「湖もでっかいなあ・・・ オカナガン湖とは大き



ナイアガラ・オンザ・レイク方面から
オンタリオ湖を見る
さが違うや」 オカナガン湖も相当に大きいのだが、やはり五大湖とは比較にならない。湖もワインの生産規模も、全てがオカナガン地方を上回っていることを体全体で感じた。



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